欧州連合域内の銀行買収に対する各国政府の介入は、保護主義と単一市場の分断を助長する可能性があると、欧州議会の経済・通貨問題委員会(ECON)向けに作成された調査が警告している。Christos Gortsos氏とEnrico Tinti氏が執筆し、2026年10月に公表されたこの分析は、フランス、ドイツ、イタリア、スペインの制度を比較している。著者らは安全保障と公共秩序を守る必要性を認める一方、こうした仕組みを国内経済に向けて融資や投資を誘導するために利用すべきではないと指摘する。結論は著者らの見解であり、欧州議会の公式見解ではない。
要点
本調査は、フランス、ドイツ、イタリア、スペインにおける金融取引への介入権限を比較し、第三国からの買収と、EU域内または同一国内の投資家間で行われる取引を区別している。
投資審査は安全保障と公共秩序上の利益を守ることができる。しかし著者らは、純粋に経済的な目的は単一市場の自由に対する制限を正当化しないと警告する。
UniCredit・Banco BPMおよびBBVA・Sabadellの事例は過去の事例である。UniCreditの買収提案は2025年7月に撤回され、BBVAの試みは2025年10月に失敗した。スペインの事例では、介入に用いられたのは外国投資審査の仕組みではなく、競争法であった。
欧州委員会は、イタリアとスペインの介入権限をめぐる手続きを開始した。スペイン案件では、法的評価が2026年6月4日付の追加書簡によって補足されたが、これは裁判所の判決ではない。
分析は、欧州レベルの解決策と強固なプルーデンシャル監督を推奨している。これとは別に、欧州委員会は2027年第1四半期に銀行関連の立法提案を発表すると明らかにしている。本調査は規則を変更するものではなく、いかなる合併も承認するものではない。
本研究は、国家介入の重要な限界を検討している。正当な利益を保護することは、政府にあらゆる取引を阻止または条件付きにする自由を与えるものではない。制限は、EU法、主張されるリスク、措置の比例性との関係で評価されなければならない。第三国からの投資については、例外的な状況において、実際の安全保障・公共秩序上の脅威に対する正当な保護となり得る。一方、EU域内の投資家、域内取引を含む投資家に適用することには、保護主義的な経済目的が隠れている可能性があるため、より大きな論争がある。
4つの国内制度は、適用範囲が同一ではない。調査によると、審査対象となる投資家、活動、取引に違いがあり、欧州の投資家が審査され得る状況も異なる。この比較は、どの投資家が銀行を買収できるかを各国が一般的に決定する権利を示すものではない。国内規則が、開業の自由、資本の自由な移動、欧州の権限とどのように交差するかを検討している。
銀行部門では、投資審査、競争審査、プルーデンシャル監督の目的はそれぞれ異なる。競争当局は企業結合が市場に及ぼす影響を審査する一方、監督当局は金融機関へのリスクを評価する。著者らは、政治的介入がこうした評価に取って代わることはできず、安全保障を口実に融資政策で国内の優先事項を押し付けることもできないと強調する。
イタリアの事例は、これらの仕組みが重複する状況を示している。2025年4月、政府は投資に対する特別な審査権限を通じて、UniCreditによるBanco BPMへの買収提案に条件を課した。欧州委員会は6月、競争上の約束を付した企業結合を別途承認し、UniCreditは2025年7月22日に提案を撤回した。欧州委員会は2025年11月21日、イタリアの法制度について手続きを開始し、経済的に正当化されない介入を認め、ECBの権限と重複するおそれがあると判断した。本調査は、こうした指摘への対応としてイタリアが2026年に採択した法改正も記録している。
スペインでは、政府が国内競争手続きの一段階を通じて、BBVAによるBanco Sabadell買収に追加条件を課した。この買収提案は外国投資審査の仕組みの対象とはならず、2025年10月に失敗した。欧州委員会は2025年7月17日、政府の権限の広さに異議を唱え、義務不履行手続きを開始していた。2026年6月4日、買収・合併に適用される新たな資本要件に関する指令の規定を評価に追加した。これらは手続きにおける欧州委員会の異議であり、スペインに対する司法上の有罪判決ではない。
著者らは、政府が懸念する理由を認めている。買収は、国内融資、特定機能の移転、貯蓄の別市場への振り向けについて疑問を生じさせる可能性がある。しかし、こうしたリスクにはEUレベルの解決策と独立した技術評価で対応することを推奨している。著者らの見解では、国境を越えた統合は欧州企業グループの競争力を支える可能性があり、直ちに生じる経済的利益に基づく国内介入ではなく、プルーデンシャルおよび競争上の保障措置を伴うべきである。
この分析は、欧州委員会が2026年7月17日に発表した銀行競争力に関するコミュニケーションを起点とする議論の一部である。欧州委員会は、より統合された市場、資本と流動性のより効率的な活用、要件の簡素化を目指しつつ、金融安定性を維持しようとしている。7月30日に公表された説明で、金融安定・金融サービス・資本市場同盟総局(DG FISMA)の局長John Berrigan氏は、立法提案の提示時期を2027年第1四半期と示した。これは提案に関して発表された予定であり、すでに採択された規則の施行日ではない。
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